
大前 2026年、城北アスリートクラブが10周年という大きな節目を迎えます。今の率直な気持ちを言葉にするなら、「感無量」の一言に尽きます。立ち上げた当初は、異なる競技の選手が7名集まってスタートしました。地域の皆さまに、こういうアスリートが身近にいるんだと知っていただきたいということと、アスリート同士がお互いに刺激になればとの思いでやってきて、あっという間に10年経ったという感じですね。
山田 本当に早く感じましたが、中身はものすごく濃い時間でした。
私は10年前の設立時に入庫し、現役選手として唯一10年間ずっとこのクラブに在籍させていただいています。
今こうして振り返ると、地域のお客さまをはじめ職員の皆さんや多くの方々の応援があったからこそ、ここまで歩んでこられたと心から感謝しています。
大前 設立当初から明確な目標を立てていたわけではなかったのですが、この10年城北アスリートクラブ10周年を迎えて を振り返ってみると、所属アスリートの世界での活躍が目覚ましく、嬉しく思っています。異なる競技の仲間が切磋琢磨する中で確かな成果が生まれたことは、私にとっても大きな喜びです。
【全日本テコンドー選手権大会(2022)】
大前 我々のクラブの最大の特色は、やはり「異なる競技のアスリートの集まり」であることです。
同じ競技の選手だとどうしても「蹴落とさなければ代表になれない」というライバル心が先に立つ場面もありますが、ここでは違う。だからこそ深い悩みまで共有し、お互いの姿勢を見て学び合える、それがパフォーマンスの向上にも繋がっているのだと感じます。
山田 本当にそう思います。みんな一見穏やかですが、芯がすごくしっかりしているアスリートばかり。
プライベートでも旅行に行ったりご飯に行ったりと、こんなに仲が良いチームは他にないんじゃないかと思うほどです。
最近もアイスホッケーの永野元 佳乃(えのもと よしの)選手、モーグルの梶原 有希(かじわら ゆき)選手と食事に行って、3時間も4時間も語り合いました。目標や悩みなど、同じ競技の選手とは話せないような深いことを話し合えるのは、このクラブならではの良さですね。私にとってかけがえのない存在です。
大前 経営者である私も、彼女たちの姿から刺激を受けています。アスリートは試合の瞬間、孤独な決断を迫られます。
そのマネジメントの厳しさは、経営の判断に通じるものがある。彼女たちがベストパフォーマンスを出す姿を見ると、私も「仲間がいる」と勇気づけられます。
山田 私は東京オリンピックの後、パリオリンピックを目指すかどうか悩んでいたとき、理事長に「好きなようにしていいよ」と言っていただいたのがありがたかったです。自分のペースで新しい目標を決めることができました。
元アスリートのマネージャーにも相談に乗ってもらうことが多く、すごく支えになっています。
【パリオリンピックアジア大陸別予選日本代表選手最終選考会(2024)】
大前 地域活動の実績を見ると、活動後半の5年間ではイベントや講演会の集客数が、初期の10倍にまで増えました。
多い時には年間2千人もの方々が集まってくださる。これは、城北アスリートクラブの活動に「価値」を感じていただけている証拠だと思っています。
世界レベルで戦う選手が身近にいて、山田選手の本気の蹴りを体感して「こんなに凄いのか!」と驚くような疑似体験は、地域の方々にとっても貴重な機会のはずです。
東京駅のイベントでは、レスリングの吉田沙保里さんに蹴りを見舞って吹き飛ばしたこともありましたね(笑)
山田 子供向けのイベントでは、みんなキラキラした目で話を聞いてくれます。
私はいつも「夢中になれるものを見つけよう」というテーマでお話ししていますが、そこで大切と伝えているのは「過程」です。
結果も大事ですが、そこに至るまでどれだけ自分を突き詰めて挑戦したか。その過程こそが、後の人生に繋がっていくのだと子供たちに教えることで、私自身も初心を思い出させてもらっています。
大前 最近では、他の企業から「アスリート採用」の相談を受けることも増えました。
私は、単に選手を雇用するだけでなく、マネージャーを置いて対外発信をサポートし、5年、10年というスパンで安心して競技に打ち込める「安心感」を提供することが重要だと伝えています。不安定な世の中だからこそ、しっかりとした基盤の上で挑戦できる環境を広げていきたいですね。
山田 安心感は私にとってすごく大きなものです。城北アスリートクラブに入ったことで、頼もしい味方がたくさんできたような安心感があります。
大事な大会の予選会に、職員の皆さんが駆けつけて応援してくださったときは、本当に泣いてしまいました。私たちアスリートの存在が、営業店職員の皆さんとお客さまとのコミュニケーションのきっかけになっていると聞いたことも、すごく嬉しかったですね。
【創設当初行った小学校での講演会(2016)】
大前 次の10年に向けて、競技の面ではまず直近のアジアでの大会、そしてその先の世界へと継続して代表選手を輩出していきたいですね。
高い壁ではありますが、世界に挑戦し続けたい。そして、山田選手も以前言っていたように、「街で普通に声をかけてもらえる存在」になることを目指しましょう。
山田 はい。今はまだ私服で歩いていても気づかれないので、もっと皆さまに知っていただけるよう頑張りたいです(笑)。
ぜひ街で私たちを見かけたら、気軽に声をかけてください。皆さまの声が、私たちの何よりの力になります。私は「自称キャプテン」として、後輩たちが怪我や悩みに直面したとき、自分の経験を伝えて寄り添える存在でありたいと思っています。競技を突き詰めることの厳しさも、楽しさも、背中で見せていきたいです。
大前 現在、クラブには全国から集まった8名の個性豊かなアスリートがいます。これからは芸術点を競うような競技の選手にも入っていただいて、さらに多様な化学反応が起きるようなチームにしていけたら面白いですね。では、山田選手から若いアスリートにアドバイスを贈っていただけますか?
山田 はい。競技人生は長いようであっという間です。今の環境を当たり前と思わず、とことん執着して、泥臭くしがみついて自分を突き詰めてください。
周りに流されず、「自分は自分」という強い意志を持つことが、限界を突破する鍵になります。では最後に理事長から地域の皆さまへ一言お願いします。
大前 10年間、「城北アスリートクラブ」に温かいご支援をいただき、本当にありがとうございます。
選手たちは日々、日本を代表する活躍を目指して努力を重ねています。これからも競技の結果だけでなく、さまざまな活動を通じて地域の皆さまに「城北アスリートクラブがあって良かった」と思っていただけるよう、一歩ずつ歩んでまいります。
引き続き、熱い応援をよろしくお願いいたします。